「人魚とパチンコ」-挽歌ではなく-

「人魚とパチンコ」-挽歌ではなく-

 パチンコは歌う
 遠くから歌う

遠い海で
人魚は岩の上にいて
ハープの音色で船乗りたちを
いつの間にやら虜にしていた
パチンコは
おいらの心の中にいて
妙に電気的な音楽と
明滅する光を繰り返し
チリリリと落ちてくる豪奢な音と
指先が覚えた金属玉の重みとで
甘美においらを惹きつけ尽くし
いつの間にやら虜にしていた

 パチンコは笑う
 いつだって笑う

人魚は船乗りたちの命を奪った
だれしも気づかぬはずとてないが
だからといって
身動き一つもできはしない
一度たりとも
微笑みかけられたら終わり
もはや為すすべありはしない
とっくのとうに
魔法はかけられてしまっている
ただの石塔になっているのだ

 おいらの中には
 あいつの無機質な歌と笑いが
 不敵に飽和し続ける

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