スケッチがテーマ

ごっちゃ

数学的な 何やら わけわからん内容と 君の頭の中で ごっちゃになってるんだね わたし

あなたのことを いつものように思って おとなしく眠るとしよう 切なくなってしまうほどの あなたを愛するこころに 満足をして 時として奇跡とも思われる あなたがくれる真心に 感謝などして

一番星

冬の木立に風が吹く 一番星の輝きだす頃 お日様に取り残されて 男はとうとう 肩をすぼめて立ちすくむ 野良猫がにゃあと鳴き その瞬間に振り向いた男の 疲れた視線は魔法となって 野良猫を見事に射止める 互いに見つめ合うのは

伝説

遠い昔 思い詰めた姫君が 叶わない祈りを抱きしめたまま 湖底に身を沈めてしまったという そんな伝説が どこにもよくある 月影が水面に映って 音もなく波に揺らめく夜 息を懲らして そっと目を瞑ると それが単なる伝説でないの

無言

 i 僕は 何も言わない 何も 僕が言わない時 僕は 何も言いたくない そうでない時は 僕は 何も言えないのである たとえば 今のような あきらめきれない時などは  ii 無言の味は 羊羹に似ている 特に 食いすぎた時の

情話

迷惑な情話が世に溢れ ひとは正しくはいられなくなった ひとは正しくはいられなくなって 迷惑な情話が世を押し流す 洪水のようだ

泥だんご

泥だんごは 子どもの掌の上で 丹念に 丸められたあと 小さな手で 壊さないように そっと並べられる 子どもは誇らしく そして 透明な喜びに満ちて 笑う すべては 忘却と現実とに 置き去りにされ 泥だんごも干からび ひび割

道草

ランドセルを背負って 少年は ついさっき送り出されたばかりだ 学校へと向かう途に いつもと同じ 平凡な家並みが待ち受けて 少年に今日も教える 生きていくということの ほとんどが繰り返しにすぎないことを 一方通行の細道 近

ガラス窓

そこにはひとつの ガラス窓があって 向こうに景色が開けている あこがれていた景色は ずっとあの頃の通り 色褪せない うす暗がりから望む 景色の明るさは 永遠をたたえて無垢なままだ 窓のガラスには うっすらと僕が映り あこ

山茶花

冬 真っ直ぐに続く 一本の道を歩み疲れて そろそろ気の遠くなりそうな心に 傍らの山茶花の花が ほうと灯を灯す なぜ こんな季節を選んで 花を咲かせるのだろうと ちょっと勇気みたいなものが ほうと灯を灯す

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