「風車ってどうして回るのかな」 「だって回らないじゃ淋しいじゃないか」 「でもこの風車回らないよ」 「きっと淋しいんだよ」
六月
雨が上がり 空が明るんできたせいで 僕はなんとなく 無口の今を持て余している 僕の心は なんだか たまらなくなっているのに…… ほら いつもと同じく働く僕は サーカス小屋が お似合いだ サーカス小屋こそ お似合いだ 〈そ
ある朝に
僕の生み出せるものは うんちくらいのものだ いつになく 頑張ってみたところで 出来てきた作物はといえば いつも同じにひょいとあり そうして 勢いのある水なんぞに流されて どこかへ溶けて消えちまう 僕にしてみたところでもう
無題
いったい どこで いったい 何に つまずいて しまったのだ
無題
ひょっとこ の 憂ひ
無題
ろばのみみ に ねんぶつ
知恵の輪
早いところ 何とかなるまいか 知恵の輪みたいに
振り子
間延びした運動で 僕を煩わせる重たい振り子 揺れながら ぐれちまって もう手に負えない 僕はそのうちになんとかなるんだろうと思いながら どうにかやってはいるが
亜希子
そこにいる君を僕は愛するのである 飾り過ぎることも 粗野に見せ過ぎることも 今や無用のことである そういうことを想像してみては 僕は一切の思いを集め 世の中をまた憎み直し 溜め息をつくのである そこに 今いる君を 僕は愛
大男
思い詰めた少女のように けなげに僕の胸を飾っていた 小さな瑪瑙のタイどめを /メノウ 僕はとうとう 守り切れなかった 平穏な時にほど何かが起こる 倦んでいる退屈の向こうから のっしのっしと あの大男はやって来た