求めることをやめてしまえば 味気ない四拍子に暮らし ついと思い詰めてしまいそうで 周りの人たちを眺めながら 人生の意義などを考え直しては やっぱり理想を求めるに限ると 結論するのである
サタン
私の夢をそそのかして 連れ出したのは だれ? サタンか? それとも! いじけた 寝不足の 不健康な 病んで縮んだ ばからしい この胸の痛みよ サタンではない サタンではない サタンは信頼を欺かない サタンが釈明しないのは
紋白蝶
ぼんやりと 海をあこがれていると 微かな風が吹いてきた 遠くに 紋白蝶が振り子のような 往復運動をしているのが見える ずいぶんと遠くなのに どういうことだろう はっきり見える 夏が近付いたための 僕の悲しみのせいかもしれ
女生徒
空が暮れて さっきからしきりに 僕を誘っている。 ずいぶんと色っぽいじゃないか。 僕は心の中で呟き そのまんま座っている。 そうして空はどんどん 暮れてゆき もはや闇は 少しも僕を誘わない。
夕暮れ
あめ色の夕暮れを 見るうちに霧が深まり そろそろ 昨日の幻想に そのまま沈み込んでいた 悪魔の ささやきが聞こえるころだ
みかん
みかんの 向こうに 山がある。