金木犀の花の 潔い真剣さに後ろめたくて 宇宙がすすり泣いている けれん味のない沈黙がやがて ため息になりはしまいかと ついと悲しんでしまう 僕の習性 おびえにも似ている 僕などは まだまだいい方なのだと しきりに心で呟く
煙
雨の中を 上昇ってゆく煙が あんまりにも白くて 僕は 「見えること」と「見えないこと」との 価値の相違なんぞを考えている 見えている白さが 無限に 宇宙にまで 届くのではないのを 不思議なことのように思い詰めている 「正
独り
独りであることを 詩にしてみようと思ったが ならない 仕方がないので それを詩にした
知恵の輪
知恵の輪にかかりっきりだ 本当は 永遠にはずれないさだめの インチキの知恵の輪なのかもしれないのだ いつか ふとしたはずみに 自然のようにはずれるような気がするのだが 今のところは一向駄目だ インチキの知恵の輪なのかもし
紋白蝶
ぼんやりと 海をあこがれていると 微かな風が吹いてきた 遠くに 紋白蝶が振り子のような 往復運動をしているのが見える ずいぶんと遠くなのに どういうことだろう はっきり見える 夏が近付いたための 僕の悲しみのせいかもしれ
人生
一生懸命 サーカスだ。