すぐ手前の山の上まで来ると、やっと利尻山の頂が見えた
残雪が白く輝いて、山頂をいっそう凛々しい姿に見せていた
その先の登山道が、今まで以上に急で困難なものであることは、
一見してわかった
しかし、きれいに晴れ渡った空に突き出す山頂の勇姿は、
われわれの不安を吹き飛ばすには十分だった
すでに北海道の本土も、礼文島の右向こうには樺太までも、
眺められるようになっていた
仲間と自分を励ましながら進み、
少し下るとまもなく避難小屋にたどり着いた
遅れた仲間の到着を待って、また歩き出した

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