一遍で四方の視界が開け、先に登り着いていた仲間の笑い声が響いた
小さな社が建っていた
その側の小岩に腰を下ろし、握り飯をほおばった
島をめぐる海の向こうには、少し霞がかかっていたが、
遠くの島影がうっすらと姿を見せていた
岩燕が頂上の周辺を飛び回っていた
清々した気持ちで一息つくと、仲間と写真を撮り合った
地元の人がいて、手売が見えると言った
何度か登っている人らしく、こんなに見えたのは初めてだと言った
方向を確かめて眺めると、白っぽい水平線辺りに、
やはり白っぽく浮かんでいた
登ってきた疲れが吹き飛ぶような気がした
頂上のみんなが、すべて仲間であるような気がした
ノシャップ岬も稚内港も宗谷岬も、はっきり見えていた
本土の海岸線からしばらく奥まった辺りには、雲が広がっていた
白く続く雲が遠く眼下に眺められた
かなり内陸に、二つの山が見えていた
その向こうは霞んで、雲との境がつかなくなっていた
頂上はいつも晴れていたが、海から吹き上げてくる風が、
時として東南方向に雲をつくり、われわれの視界を遮った
下りのことを考えると気が重かったが、どうでもいいようにも思われた
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