たくさんの いただきものを 寄せ木細工のように 組み合わせて 私の全体ができている 一つ一つの欠片を どなたからいただいたものか 見分けようにも まるでお手上げの だらしない 始末だけれど
宛名書き
年賀状の宛名書きを パソコンで手伝ってやるのは ここ数年の私の習い 昨年の住所録を印刷して 母に渡してやると 一年前に頂いたお賀状の束と ひとしきり時間をかけて 照らし合わせている しばらくすると 私の部屋にやって来て
詩
心を 切り刻んで 細かく 切り刻んで ある時ふと 紙ふぶきのように それを一斉に 空(くう)に舞わせたところに それは生まれたのだろう 純粋な魂を 粉々に 切り刻んで 紙ふぶきのように 散らせたなら それはきらきらと 瞬
ここ
今 ここに いること やがて ここから いなくなること この二つは 初めから交わされている 太陽と月との 動かせない約束だ だからこそ ここにいるうちに やった方がいいことの 全部をやっておくとしよう ここからいなくなる
山茶花
冬 真っ直ぐに続く 一本の道を歩み疲れて そろそろ気の遠くなりそうな心に 傍らの山茶花の花が ほうと灯を灯す なぜ こんな季節を選んで 花を咲かせるのだろうと ちょっと勇気みたいなものが ほうと灯を灯す
壊れた独楽
壊 れ た独楽でもそれなりに回る なんだか自分が回っている ようでこんなものさえ 捨てられない で い る