いい加減

時間は限りあるもので 個人の持っている時間は確実に減っていく 常に意識しているほど 無意味なこともないけれど たまにはどうしても 思ってみなければならなくなる  《何をしている 時間は過ぎるぞ》 それは 自分の過去が 証

イチゴ

真夜中 暗い部屋のなかで わけの分からないことを 相部屋の二人が 楽しそうに 会話していましたので 私が それってどういうこと と訊いてみたところ 返答はありません 耳を澄ますと すやすやと 二人とも静かな寝息を 立てて

記憶

車で 少し外に出かけたとき 助手席で母が泣いた だからその時は 父の 偉かったところなんかを 語り合ってみた 父は 病床にあっても 絶えず母や私の身を 気遣っていたし 決して周りのだれかに 辛く当たったりすることも わが

結び目(亡き父に)

最後に入院する少し前 力無げな声で 「疲れたから休んでいるんだ」と 座り込んだまま答えたあなたの姿が 私の中によみがえって 静かに微笑みかけてくれるけれど 私はあなたの そんなにも優しい表情に いつになったら 微笑み返せ

一番星

冬の木立に風が吹く 一番星の輝きだす頃 お日様に取り残されて 男はとうとう 肩をすぼめて立ちすくむ 野良猫がにゃあと鳴き その瞬間に振り向いた男の 疲れた視線は魔法となって 野良猫を見事に射止める 互いに見つめ合うのは

風邪

今日は みぞれがびちょびちょと降っていた 冷たくて 急に君がどうしてるのか気になって 息ができないくらい 悲しかった どうやら 風邪をひいたみたいだ

君と

いろいろあったみたいだけど 本当は何もなかったのか とも思われてくる ただ 何も始まらないまま終わってしまったと 今から思いなおしてみるには 確かに何かがありすぎたようでもある 私の夢は いつも裏切る たいがい ひどく切

卒業

何のために 今があるのか 何のために 自分があるのか 何のために 生きるのか という不思議を思うときに 僕らは思い返すだろう 過ぎ去った あらゆる今というときを 過ごしてきた あらゆる自分という存在を 別れて 遠く会えな

無駄な考え

幸せのために、 必要なのは勇気。 (それに対して、あなたが好きなのはケーキ) 色んなことを乗り越えるには、 本当は勇気が一番 大切さ。 (それに対して、北海道の屋根は大雪山) だけど、へなちょこにはなかなか、 その勇気が

伝説

遠い昔 思い詰めた姫君が 叶わない祈りを抱きしめたまま 湖底に身を沈めてしまったという そんな伝説が どこにもよくある 月影が水面に映って 音もなく波に揺らめく夜 息を懲らして そっと目を瞑ると それが単なる伝説でないの

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