馬鹿

夢を追いかける人のきららかな表情を すっかり信じて微笑する 僕は馬鹿だよ ひたむきに行う人の 明るい顔を見ていると 悲しむべき僕の感情がついにはなくなり 嬉しいばかりの僕が出来上がって 得意になる 僕は馬鹿だよ 《「純粋

人生

へたをすると 馬鹿馬鹿しい芝居にだって 心の底から笑うようになる 心の底から泣くようになる あるいは どちらもできなくなる

理想

求めることをやめてしまえば 味気ない四拍子に暮らし ついと思い詰めてしまいそうで 周りの人たちを眺めながら 人生の意義などを考え直しては やっぱり理想を求めるに限ると 結論するのである

独り

独りであることを 詩にしてみようと思ったが ならない 仕方がないので それを詩にした

ある日の暮れ方

よどんだ夕空の下にある 交差点の信号あたり 僕の車は止まって順番を待ち その中の僕はさっきの女との たわいないやり取りを考えながら 薄暮の中に灯っている全ての電灯が 次から次にパンッパンッと音を立てて 割れ尽くしてしまえ

サタン

私の夢をそそのかして 連れ出したのは だれ? サタンか? それとも! いじけた 寝不足の 不健康な 病んで縮んだ ばからしい この胸の痛みよ サタンではない サタンではない サタンは信頼を欺かない サタンが釈明しないのは

知恵の輪

知恵の輪にかかりっきりだ 本当は 永遠にはずれないさだめの インチキの知恵の輪なのかもしれないのだ いつか ふとしたはずみに 自然のようにはずれるような気がするのだが 今のところは一向駄目だ インチキの知恵の輪なのかもし

紋白蝶

ぼんやりと 海をあこがれていると 微かな風が吹いてきた 遠くに 紋白蝶が振り子のような 往復運動をしているのが見える ずいぶんと遠くなのに どういうことだろう はっきり見える 夏が近付いたための 僕の悲しみのせいかもしれ

流れ

流れながれて やがては僕のところを ふうという音を立て 去って行く水鳥たち ままならぬこの 太陽と月との 物理的な 真実の中

弱音を吐くが

たくさんの裏切りに ちょっとばかり疲れてしまったよ ちょっとばかりいけないよ ずいぶんと 裏切られることにも慣れてきたとは 思うのだがまだまだ やっぱり悲しいというのか やり切れないじゃないかよ やってらんないくらい寂し

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