誠に月並みですが 東京特許許可局 よく言われることなんですけれど 東京特許許可局 本当のところ私どもとしましては 東京特許許可局 なにぶん戸惑うことばかりなもので 東京特許許可局 時代時代と諦めればよさそうなものを 東京
もしもの決意
尊敬できない在り方を もしもしなければならなくなって そのときたとえ渋々でも 自分をすっかり明け渡すような 最低のことにでもなったなら 僕は是非とも願い下げです この世にそうやってまで存在すること 神様と仏様とお母様に申
ひまわり
少年には見えたかしら。 太陽を乗せて自転車は風となり 季節は秋を急ぎ 少年は振り向かない ひまわりはただ そっと思うばかりだ
蛍
夏休みで田舎に帰った僕たちが 「ひと夏に一度そこで河童が足を引く」 とか言う神秘めいた噂をしながら 冷たい小川の淵で毎日泳いでいた頃だ あれはまだ 地球の温暖化なんか だれも言わなかった頃だろう 月の出ない真っ暗な夜 だ
金魚すくい
薄紙を張ったポイも ずいぶんと近代的になりましたがね 子供はやっぱり金魚すくいが好きと見える その小さな生け簀の 周りに小さい手を並べて 順番を待っていたりするにも楽しそうだ すぐに薄紙が破れてしまって ハイ残念でした
少女
夏といえば 爽やかな色の 水玉模様のワンピースを着た 少女を思い出すのはなぜだろう そのくせ だれということもなく 顔なんかどうでもいいと考えながら 十歳くらいの少女の姿を思い浮かべている しかもだ やっぱりどこのだれか
昨年と同じく
昨年と同じく 北海道に行けたら 行こう 昨年と同じく 列車の中で人と親しくなり 昨年と同じく 海や山や湖で じっくりと思ってみるとしよう 昨年と同じく 本当の自分と 落ち合えるかもしれないから 昨年と同じく 行けたら
花火
空には空の 事情というものがございましょうものを 花火の奴ときた日には お構いなしにシュルドンと鳴り 平穏な空のひとときの安息を打ち破るのでありました 空はそれでも 別に文句など言うでなく 首をちょっと傾げたふうに ほほ
ふん
ふん踏んづけちゃったら くさいよ ふんそのままにしないでよ 飼ってる人が片付けてよ 近くに水道があればいいけどね なかったら ちり紙でふいてもふんくさいのがとれない 新しいやつだととくに
すべり台
カツカツカツツ 階段を上り そのてっぺんにある鉄のアーチに ゴツンとぶつけてイテテと思ったが だれも気づかなかったみたいなので 何もなかったふりですべり台を滑った あとからさりげなく 頭をさすったらたんこぶできていた