一番星冬の木立に風が吹く 一番星の輝きだす頃 お日様に取り残されて 男はとうとう 肩をすぼめて立ちすくむ 野良猫がにゃあと鳴き その瞬間に振り向いた男の 疲れた視線は魔法となって 野良猫を見事に射止める 互いに見つめ合うのは 男と女 ではなく 男と野良猫 猫の立派な長いひげに ひゅるるぅとまた風が吹くと 男のそり残しの情けないひげにも ひゅるるぅとまた風が吹く それもまもなく 男は猫にさえまた取り残される なんとしようにも 一番星は金星なのだFacebookで共有Xで共有保存する