〈あのさ あのね〉 胸がどきどきして 全身の 隅から隅まで 一瞬のうちに フツーでは なくなってしまう 〈そうなんだ いつも〉 そんな自分を どうすることもできないで 一番 なって欲しくない時に しどろもどろ 持て余して
失恋
絶望に 打ちのめされた魂は 修復のため あれこれ施される すべての急場の修繕まで 少しも喜ばず 徒労に変えて しきりに 震える そういう 本物の恋をした
問い
本当にこうするより 他に方法はなかったのだろうか そんな考えが 私の中で渦巻いて消えない 悲しくて 悲しくて 悲しくて ありったけの自分が 問い続けてやまない 君は 今頃どうしているんだ
ネット恋愛
最後まで 生身の人間として 扱ってもらえなかったことを思うと 今にだって涙が出てくる 思わなければよいと言われても そのことばかりは いつも思われてならない この存在は最後まで 電気的信号に過ぎなかったのかと 自分を憐れ
別れ
一緒の時に 私たちをつなぐのは いつでも言葉だけだった そんな中 ほんの少しの思い出も いつのまにだか できていた イルカや和菓子やおむすびに あなたの笑い声を 思い出すだろう ローリンやベビーフェイスを耳にして あなた
罪
恋することは 罪ではない と思うけれど それを打ち明けることは 罪となりうる
こころ
こころってヤツは 意志とか 理屈なんかより 自分が上等だと 思っているんだ きっと
カタブツ
もっとも難しいのは 自分自身 というモノみたいだ 自由に上手く コントロールできると いいのに 半端とかなんとか くそくらえだ 我がままも 頑固さも ぶっこわれちまえばいい そんなことを考えつつ 自分自身に 諦
結び目(亡き父に)
最後に入院する少し前 力無げな声で 「疲れたから休んでいるんだ」と 座り込んだまま答えたあなたの姿が 私の中によみがえって 静かに微笑みかけてくれるけれど 私はあなたの そんなにも優しい表情に いつになったら 微笑み返せ
風邪
今日は みぞれがびちょびちょと降っていた 冷たくて 急に君がどうしてるのか気になって 息ができないくらい 悲しかった どうやら 風邪をひいたみたいだ