求めることをやめてしまえば 味気ない四拍子に暮らし ついと思い詰めてしまいそうで 周りの人たちを眺めながら 人生の意義などを考え直しては やっぱり理想を求めるに限ると 結論するのである
ある日の暮れ方
よどんだ夕空の下にある 交差点の信号あたり 僕の車は止まって順番を待ち その中の僕はさっきの女との たわいないやり取りを考えながら 薄暮の中に灯っている全ての電灯が 次から次にパンッパンッと音を立てて 割れ尽くしてしまえ
サタン
私の夢をそそのかして 連れ出したのは だれ? サタンか? それとも! いじけた 寝不足の 不健康な 病んで縮んだ ばからしい この胸の痛みよ サタンではない サタンではない サタンは信頼を欺かない サタンが釈明しないのは
知恵の輪
知恵の輪にかかりっきりだ 本当は 永遠にはずれないさだめの インチキの知恵の輪なのかもしれないのだ いつか ふとしたはずみに 自然のようにはずれるような気がするのだが 今のところは一向駄目だ インチキの知恵の輪なのかもし
流れ
流れながれて やがては僕のところを ふうという音を立て 去って行く水鳥たち ままならぬこの 太陽と月との 物理的な 真実の中
弱音を吐くが
たくさんの裏切りに ちょっとばかり疲れてしまったよ ちょっとばかりいけないよ ずいぶんと 裏切られることにも慣れてきたとは 思うのだがまだまだ やっぱり悲しいというのか やり切れないじゃないかよ やってらんないくらい寂し
無題
止まった空間には 凝縮された生命が放蕩を始め 瑞々しい若さで傾いてゆくのだ 止まった空間には 地球の運命が暗示され 無機的な笑い声が気味悪く響き 涼しい血のためには頭痛を容認する 止まった空間には 生活の一端が溢れ出し
女生徒
空が暮れて さっきからしきりに 僕を誘っている。 ずいぶんと色っぽいじゃないか。 僕は心の中で呟き そのまんま座っている。 そうして空はどんどん 暮れてゆき もはや闇は 少しも僕を誘わない。
無題
「風車ってどうして回るのかな」 「だって回らないじゃ淋しいじゃないか」 「でもこの風車回らないよ」 「きっと淋しいんだよ」
六月
雨が上がり 空が明るんできたせいで 僕はなんとなく 無口の今を持て余している 僕の心は なんだか たまらなくなっているのに…… ほら いつもと同じく働く僕は サーカス小屋が お似合いだ サーカス小屋こそ お似合いだ 〈そ