何ゆえの 体罰であろう そんな風に 疑い続ける 自分がいる こんな 自分のためになら 体罰にも 耐えていけそうな 気がする
決心
引力の てっぺんにある ああまでくすんだ 空の色 私は 息を凝らして また憎みなおす ああまで ひどい空の下に いつまでも あなたを 放ってなど おけるものか 大切なものが だんだんと駄目になる そんなこと どうあっても
泥だんご
泥だんごは 子どもの掌の上で 丹念に 丸められたあと 小さな手で 壊さないように そっと並べられる 子どもは誇らしく そして 透明な喜びに満ちて 笑う すべては 忘却と現実とに 置き去りにされ 泥だんごも干からび ひび割
手紙
純粋な少女のくれた手紙を 古いノートの間に見つけた 私の書いた小さな詩を とても素敵だと言ってくれたのだ ためらいがないどころか あんまり素直に心を打ち明けていて 私はなんだか今にも 優しい気持ちを誘われてしまう あの娘
幻想
幻想を 危うく持ってしまう所だった 少年の頃 いつもいつもそれで悲しみ 私はそれが 不当にもその持ち主をいたぶることに 絶えず苛立たしさを感じたのだった それから私は 次第に幻想という奴を 持たない癖になっていた それが
変身
君はある時 自分が既に自分の手には負えないくらい 女になってしまっていたことに 思い至るであろう 少女は大人の女を 長く夢見てきたであろうけれど そうしているうちに いつのまにか 自分の知っている自分より 大人に見られて
自然らしく
不安らしい瞳が 揺れながら僕を見つめる 何かを恐れている君のために 僕は大袈裟に決意する 宇宙よりも自然らしく 存在することを命にかけて 君の恐れているものは 僕であろう 友であろう そして 自分自身であろう 偽りであろ
道草
ランドセルを背負って 少年は ついさっき送り出されたばかりだ 学校へと向かう途に いつもと同じ 平凡な家並みが待ち受けて 少年に今日も教える 生きていくということの ほとんどが繰り返しにすぎないことを 一方通行の細道 近
途上
飲んだっくれて 日が暮れて 誠心誠意 くれどおし しらばっくれて グレてみる 連れに逸(はぐ)れて 途方に暮れて 食いっぱぐれて 風が吹く そぞろ歩きの みちの上
ガラス窓
そこにはひとつの ガラス窓があって 向こうに景色が開けている あこがれていた景色は ずっとあの頃の通り 色褪せない うす暗がりから望む 景色の明るさは 永遠をたたえて無垢なままだ 窓のガラスには うっすらと僕が映り あこ