別れ

一緒の時に
私たちをつなぐのは
いつでも言葉だけだった
そんな中
ほんの少しの思い出も
いつのまにだか
できていた

イルカや和菓子やおむすびに
あなたの笑い声を
思い出すだろう
ローリンやベビーフェイスを耳にして
あなたの声を
懐かしむだろう
どこかで多喜二の名に会えば
やっぱりあなたを
考えるだろう

五月には
私のこの動揺と併せて
誕生日ごとに
亡くなった両親に
詩をこしらえて送る
心優しい女性がいたことを
私はきっと思うだろう
果たされなかった約束も
とても全部は忘れられない

二人の出会いが生んだ詩も
不細工な思い出として
古びてほこりを被るのだろう
せめては
ほんの慰みに
「小箱」の奥に
そうっとしまって
大事に愛おしみ続けるとしよう

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