夏は夕暮れ 透明なほど 肌の白い女が また頬を涙に濡らして 海辺に立った ゆりかごの 調べはカノン たれか知る 涙のゆくへ 風の伝ふる 静けきメルヘン 女は 遠くを見つめたまま 固く唇を 結びなおした それから なおもずっと 涙は流れ続けた ゆりかごに 時はまどろむ 小波の 寄せつ返しつ 彼方なる ノスタルジーの ポセイドンは 女に恋していた 切ないため息は 今日までに 幾度となく繰り返されていた けれども女は そのことに 永遠に気づきはしない それは風の音と ほとんど同じに すぎなかったのだから
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