どくだみの花が咲く 初夏のベッドで 僕は気ままに生きていた そこが 僕の全ての生涯の在り処 それでよく それでしかなく 土の臭いはそのまんま僕の 生と死を抱く 優しい場所であったのだ どこに行こうという望みも ありはしないし 今までだって持ちはしなかった 十分な安穏に 時たま寝返りを打つことくらいが 僕の仕事で そのままいることにだけ 僕の生活は終始するはず それでよかった 遠くで かあかあかあかあ かあかあかあかあ 鳴く鳥も 僕は一度も見たことはないが それはそれで 別にどうでもいいことだった あたたかい 黒い土に 僕は愛されていると思っていたからだ 愛していたからだったろう そうだったろうと思うのだ なのに 突然だ 僕は子供の持つ棒きれにひっかけられ 落とされてはまたひっかけられ かたくて熱く焼けた日向のコンクリートの上に運ばれ のた打ちまわり あえぎ 見たこともないその場所でいたぶられ 孤独の中で絶望し ひからびていく自分を どうすることも できないまんまひからびていった 見たこともない光という光が 青い色のどんどん濃くなっていく空が 僕の目には映っていた 僕はその時ふと ああ これが死というものなのかと はじめてわかった
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