Archives: 2020年10月29日

人選

やっとのことで巡り会えた
嬉しくて
だれかに言いふらしたいけれど
まだだめ
勿体なくて
話す相手だって
念入りに人選しなくちゃ

馬鹿を言う

こんな僕を好きだと
世にも奇妙な
馬鹿を言う
あんまり珍しいから
君を抱きあげて
そっと宝箱に
しまうとしよう

ごっちゃ

数学的な
何やら
わけわからん内容と
君の頭の中で
ごっちゃになってるんだね
わたし

勇気

君が
勇気を出して
私に思いを
告げてくれるたび
私の思いは
ひときわ強く
しなやかに
羽ばたき始める

泥棒

君の睡眠不足
睡眠時間を盗んだのは、
誰あろう
他ならぬ私です
心を
ありったけ盗まれた
素敵な泥棒さんへの
ちょっとした仕返しに

二人

この
しばらくの間
大切な時間が
動いていくような
記念
すべきことでいっぱいの
美しい日々です

約束

これまで互いの過ごしてきた
すべての時間と出来事は
この約束を果たすためのものだったと
僕は本気で口にする
きっと君は
いつものように
ちょっとあきれて笑うだろう
また大げさが始まったと
僕を思わず嬉しくさせる
可愛い声を野花に咲かせて
面白がるにちがいない

寂しさや孤独の涙も
挫折した悲しみも
捨てきれない不器用な結末も
すべてが
この日のための祝福だったと
思うことさえできもする
どんなに辛い思いまで
残らず
この一つの約束のために
特別に誂えられてきたものだったと
信じることさえできもする

いつ約束なんかしたものかと
君がいたずらに僕を困らせても
僕はヘッチャラ
そんなこと
わかりゃしないに決まっている
互いが交わした約束事でもあるまいし
わかろうはずなどあるものか
宇宙が始まったその時から
この約束は
ずっと守られるはずだっただけ
僕が真面目にそう言うと
きっと君は
また大げさが始まったと
そよ風みたいに
笑ってくれるに違いない

プレゼント

サンタクロースが
二十年分くらい届け忘れていた
私へのプレゼントを
ひとつに
まとめて届けてくれた
この日

あなたは
私には蜜の味
ミネラル豊富な
完全健康食品
なにしろ
毎日の私を
いつだってきっと
元気にしてくれる
上等な稀少品

無理のある話

あなたは
巴御前にそっくりです
そっくりとは言っても
巴御前の容姿など
私も見たことはありません
私の中にある
そのイメージとの比較です

巴御前はその昔
木曽義仲が
自国から都に攻め登り
攻め落としてまもなく討伐軍に追われ
ついに最期に至るまで
義仲によっていくさの場にも伴われた
天下の美女
美しいというばかりでなく
男顔負けの
腕っ節の強さまで兼ね備え
義仲への強い愛情を
生涯失うことなく全うした
誠心誠意の女性です
私の憧れるイメージです

その
つまり
したがって
あなたは私の
理想のひとなのであります

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