薄紙を張ったポイも ずいぶんと近代的になりましたがね 子供はやっぱり金魚すくいが好きと見える その小さな生け簀の 周りに小さい手を並べて 順番を待っていたりするにも楽しそうだ すぐに薄紙が破れてしまって ハイ残念でした と言われて一匹の金魚を渡される時 ちょっとだけつまらなそうではいても 子供はけっこう潔い そのときの子供の瞳には 確かに現実というものが 親しげに微笑んでいるのだ 本当のことを言えば 金魚すくいというものが 優しい表情の陰で 鋭くにらみつけているのだが…… (たぶん 遠い昔から)