雨の中を 上昇ってゆく煙が あんまりにも白くて 僕は 「見えること」と「見えないこと」との 価値の相違なんぞを考えている 見えている白さが 無限に 宇宙にまで 届くのではないのを 不思議なことのように思い詰めている 「正直」というものと それに反するものとの違いかと考えてみる 実は「成長」という一言で 説明し尽くされるものかとも考えてみる 少しくらいは 幸福と不幸との差があるのかもしれないと考えてみる 実体と虚体という違いではないことだけは確信している そうしているうちに 白さが見えなくなったその時 煙でなくなるのだということに 不可解さえ感じ始める そうして それが世界を包むことに思い至り 雨の降ってくるわけが 知れる気がした
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